弓道
今、伊集院の神社にいる。
名前は知らない。
私の座っているところから
少し離れたところで、
どうやら親戚らしい集まりが
軽く挨拶を交わしながら
境内の方に歩いて行った。
この神社の横には弓道場がある。
たん、たん、と音がするので
何だろうと覗いてみたら
中学、高校生くらいの女の子男の子たちが
的に向かって弓を引いていた。
その姿は凛として、堂々としていて
思わず見惚れてしまった。
これこそが日本人のあるべき姿なのではないか、とも思った。
最近のファッションは、とても多様化していると思う。それぞれが思い思いに好きな服を纏って、自己を表現している。
でも、私にはどんなに煌びやかなそれも、あの凛とした袴姿の横ではくすんでしまうのではないか、と思ってしまう。
綺麗にまとめられた黒髪、
白黒の袴、
綺麗に伸びた背筋。
あれこそが真の美しさではないだろうか。
たん、と静かに矢が的の中心部を射ると
矢を放った当人はやったぁ!など喜びは露わにせず、ただ淡々と型になぞって次の矢を射る準備をする。
その横で、後輩らしき数人の男女たちが軽く拍手をする。
全てが何にも乱されることなく、
淡々と進んでいく。
精神統一
まさにその言葉通りの景色だった。
あの弓道場は、一般の受け入れもあるのだろうか。もしあるなら、私もあそこに入って、あの袴を着て、的に向かって矢を放ってみたい。
そう思った。